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事業はほとんどないという問題がある。今後の、この種事業が同じ問題を抱えて、実施され、同様の結果になるおそれがある。

?A 省庁別情報化

地方公共団体において情報化が鋭意進められる一方で、各省庁との関連で、複数系統の情報化が併存するという状況がある。すなわち、例えば、県においていくつかの個別省庁の端末が独立して設置され、省庁に接続されており、これらは他の目的には利用できない。県のLANの構築が進められると、各課に設置されている端末やパソコンの利用目的が制限されるという不都合が生じる。霞が関WANが構築され、近い将来地方公共団体のLANとの接続も実現されようとしている中で、個々の省庁のシステムが1つの地方公共団体に個別に独立して設置されているという不合理は解消されるべきである。

 

(3)ICカード

ネットワーク社会の進展において、個人を識別し、認証する手段が必須になるにもかかわらず、日本にはこのためのシステムが全く存在していない。個人識別・認証の必要性、課題は3−1で既述のとおりであるが、その具体的な手段とし考えられるICカードに関して、縦割り行政の弊害が顕在化するおそれがある。

ICカードのメリットは他のカードと異なり、記憶容量が大きいことと、セキュリティが高いという点にある。それだけに、コストは磁気ストライプのカードと比べ高くなることになるが、各種目的に使用できるように標準化を進め、利用枚数が多くなれば、コストも軽減されることが期待される。現在、運転免許証、医療カード、地方公共団体内での識別カード等、いくつかの構想がでてきており、これらの相互連携は図られていない。このICカードを、住民記録システムのネットワークにおける個人の識別・認証手段として採用することが、結果的に国民全体の識別・認証手段へ拡張していくと考えられるが、そのためには、以下のような事項について課題を解決する必要があろう。

(a)暗号方式

ICカードは暗号化機能によって、高いセキュリティを保証するが、その暗号化と解読方式に関して標準化を図らないと、複数行政機関間で利用することはできないこととなる。

(b)読み取り装置

 

 

 

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